ふだん子どもに言っている何気ない一言が、実は子どもをだめにしていた。
今日紹介するのは、著書「犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉_です。
犯罪心理学を専攻し、多くの非行や犯罪を犯した子どもと話をしてきた出口保行さんが語る呪いの言葉とは。
優等生と非行少年のたった1%の子育ての差は何か。
「親のよかれ」は「子どもの呪い」になっているかもしれない事実。
10,000人の犯罪者を心理分析してきた犯罪心理学の第一人者だからこそわかった子どもの未来を照らす声かけとは何か。
この記事では、未来を潰しているかもしれない声掛けを少し紹介します。
読んで気になった人は、気になった人はぜひ購入してください。
犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉 (SB新書) [ 出口保行 ]
著者の紹介 出口保行さんとは
おそらくテレビで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
出口さんは、1985年東京学芸大学大学院終了後に、法務省に心理職として入省。
全国の少年鑑別所・刑務所等で犯罪者を心理分析。
その他、法務省矯正局、法務省法務大臣官房秘書課勤務等を経て、法務省法務総合研究所室長研究官を最後に退官し、同時に東京未来大学教授。
2013年からは、こども心理学部長を務める。
そんな数々の実績を持つ出口さんはどのようにして、分析してきたのか。
出口さんの分析手法
心理分析とは、警察のように、起きた事実に対して客観的に調査をするのとは異なり、起きた事実に対して、関わった個人がどう感じたのか主観的に分析する学問。
主観的に分析するという部分がとても大事で、その人がどう受け取ったかに焦点を当てています。
非行少年たちは、どのような環境や声掛けを受けてきたのか。
出口さんは対話を通じで、一人ひとりの内面を分析してきました。
そうして分かったのは、親が子どものためを思って、言っている言葉が、実は子どもをダメにしていたという衝撃の事実。
なぜ、親はダメな言葉を言ってしまうのか
私たちには確証バイアスというものがあります。
確証バイアスとは、自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向性のこと。
出口さんによれば、親が子どもにしている発言には、このバイアスが強くかかる傾向があるそうです。
したがって、親は自身の言動を非難することなく、相手の子どものためを思って言ったという気持ちから動かないのがほとんど。
たとえ、それが子どもにとって迷惑だったとしてもです。
では、ここからは、具体的な一言を見ていきましょう。
ダメな声掛け①「みんなと仲良くしなさい」
代表的なものは、「みんなと仲良くしなさい。」だそうです。
どうですか。
この言葉、言ったこと、言われたこと、聞いたことはありません。
実は、この言葉は、言われた側の個性を破壊する言葉だそう。
誰とでも仲良くするということは、自分の個性や考えを潰させ、だれに対しても同じようなことをしなさいという思考を放棄させる役割を買っているとのこと。
大人である私たちは、人付き合いを選んで形成していますよね。
なのに、なぜ子どもには、全ての人と仲良くなることを強要してしまうのか。
もちろん、これは、差別をしてよいという意見ではありません。
問題なのは、子どもに選択させる自由がないこと。
また、声かけするときの態度についても注意が必要です。
高圧的な態度は刑務所と同じである
親からの声掛けは、気を付けないと、刑務所と同じような働きをもってしまう。
どういうことか。
高圧的な親子の場合、子どもが一見言うことを聞いて従順そうに見えるけれども、実際は、何も考えていない状態だそう。
これは、威圧的な刑務官と同じで、高圧的な親の子どもによく見られます。
小さいころは、いうことを聞きますが、力をつけ始めると、大人しく聞く道理はありません。
反発するでしょうし、時には家を出ていくことも。
ダメにする声掛け②「早くしなさい」
他にも「早くしなさい。」があります。
何の理由もなしに、行動だけを急がせるのはよくありません。
実はその言葉、事前予見能力、先を読む力を失うと言われています。
今、自分が何のためにその行動をしているのか、大事なのはプロセスを理解させることです。
口癖を考えてみよう
ここまで2つの声掛けを見てきましたが、他にも気づかないうえで、子どもをダメにしている言葉はたくさんあるそうです。
出口さんがいうには、親はぜひ、自分の口癖を考えてほしいとのこと。
言葉だけを取り上げて、その言葉を言わないようにしても意味はありません。
2つの言葉で見てきたように、その言葉の持つ背景にどのような意味があるのか。
そして、その言葉だけで指示を完結させてないか。
そういった振り返りが大事なのです。
自己責任の意識を
子どもは、置かれた状況で、責任を学んでいきます。
先回りしたり、子どものためを思って言ったりするのも、完全悪ではないですが、子どもは、時に、自分で責任を取るという経験が必要です。
そして、大事なのは、失敗やミスをしたときに、どのようにして次に生かすかです。
この辺りは別記事で紹介しているので、参考にしてください。
子どもが変わっても親が変わらなければ意味がない
親が子どもに与える言葉の影響は、大人である私たちが考えているよりとても大きいことが分かります。
ですが、多くの背景には、子どものためを思ってという親心があるのも確か。
出口さんが非行少年の子どもと出会って話をして感じることで、胸に響く言葉があります。
それは、「子どもがいくら変わろうとしても、親が変わらなければ、難しい」です。
自分の言動が少しでも気になった人は、これを機に、著書を参考にして、自分の発言を振り返るのもいいかもしれませんね。
あらためて著書の紹介
犯罪心理学者が犯罪を犯した子供たちの共通点から、「やってはいけないこと」を説いています。
本書は実際の事件から子供視点と大人から見た視点の二面から解説しています。
とても重要なのが、本書では「こうすれば犯罪に至らなかった」という後ろ向きな反省ではなく、「子供と親(親戚)がこういう関係になると、子供はこういう受け止め方(勘違いともいえる)をしていまう」という分析的な書き方をしている点。
言葉自体がダメなのではなく、大切なのはあくまでも背景にある相互関係。
子供に対する親のコミュニケーションの在り方をテーマにしていますが、親子関係だけでは無く上下関係が存在する大人同士のコミュニケーションにも活かせる内容となっています。
犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉 (SB新書) [ 出口保行 ]
まとめ
いかがでしたか。
今回は、子どもをダメにしているかもしれない声かけを見てきました。
子どもがいる人はもちろん、実は、声かけの影響は会社などの一般社会でも同じです。
本書を参考に、自分の口癖を見直して見るのもいいかもしれませんよん。