ミーティングや会議で意見が活発に出ずに困った経験はありませんか。
「自由にアイデアを出してください。」といっても、誰も口にを開かない、「特にありません。」という意見しか出ない。
なぜ、話し合いは活発にならないのか。
せっかく行う会議なのだから、実りのあるものにしたいですよね。
今回は、社内だけに限らず、社外でも応用可能なテクニックを紹介します。
会議で意見を出させるために一番はじめにすること
ミーティングや会議で意見が出ない原因で考えられるのは、上からの指示に慣れすぎてしまっている場合で、自由に発言することを恐れている場合がほとんどではないでしょうか。
【2022年最新】科学的に証明された質の高い会議を行う8の方法
上の記事でも取り上げましたが、質の高い会議を行うためには、発言を自由にする空気を作ることが必須です。
ですので、まずは自由に発言できる環境を作りましょう。
メンバーが意見を言いやすくなれば、チームの心理的安全性も高まります。
その上で、「問いかけ」を工夫すると良いかもしれません。
相手の反応を促進する問いをする
相手に質問を投げかけることで、相手の反応は促進します。
例えば、「昨日の晩御飯は何を食べましたか。」と質問すれば
相手は昨日の記憶を振り返って晩御飯のメニューを思い浮かべます。
「緊急事態宣言が明けてから一番よかった食事は何ですか。」と聞けば
「久々に食べられたあのレストランの…とか、久しぶりに会えたあの友達と食べたあの店かな。」と記憶をたどるでしょう。
さらには、「そもそも自分にとって”良い食事”とは何か。」を考え始めるかもしれません。
このように、問いかけは広いキャンバス上の「ここに焦点を当てて」と相手に知らせる「ライト」「指示灯」の役割を果たすようなものです。
重要なのは、ライトの当てかたによって、相手から引き出せる反応が変わることです。
食事の問いかけのように、相手の記憶を喚起したり、相手に内省を促したりして、相手の発言を引き出しやすくする効果もある一方で、相手の口を閉ざしてしまうライトの当て方もあります。
避けたいのは、広く淡くライトを当てることで、何も照らしていない、実は相手に何の刺激も与えていない問いかけです。「何でもいいから発言して」はまさにその典型だそうです。
また、「何か良いアイデアはない?」という問いかけも要注意だそうです。
これでは「良いアイデア」にライトが当たりすぎていて、「これは良いアイデアじゃないかもしれない」と相手を萎縮させる危険があるそうです。
質問や問いは「抽象度」を意識する
ここでは、問いかけの工夫を、具体的に見ていきましょう。
厳しい競争環境を生き残るために新規事業を模索している会社で、「第二の柱となる新規事業のアイデアはないですか?」と質問したとします。
何が起きるか。
そんな大きなことを聞かれてもメンバーは困るだけです。
この質問が答えにくい理由は、主語の抽象度が高すぎることです。
そこで、個人の抽象度を「組織」から「個人」に下げる必要があります。
このように変えましょう。
改善前
「第二の柱となる新規事業のアイデアはないですか?」
改善後
「これから新しい事業をやっていくとしたら、あなた自身がやってみたいことはありますか。」
このように変えることで主語が「あなた」になり、メンバーひとりひとりのこだわりのアンテナを刺激することができます。
いきなり「新規事業のアイデア」と組織の大きな目線で聞かずに、個人目線を意識して聞くようにしましょう。
こだわりを大事にする
個人のこだわりを聞くのは、メンバーの多様な個性を活かしたワークショップ型の組織を作るのに重要です。
従来のトップダウン型の組織では個人のこだわりを出そうものなら、会議で一蹴されたこともあるでしょう。
しかし、現在のような社会では、個人のこだわりこそを大事にするべきなのです。
なぜなら、従来の社会では正解がわかりやすく存在していましたが、現在はそうではありません。
この辺りは、以前の記事にも書いているので、未読の人はぜひ読んで見てください。
ガリガリくんの過去のヒット作に、「コーンポタージュ味」というものがありました。実は、その商品は、企画者のこだわりが詰まった商品で、企画の時点では売れるわけないと批判されたそうです。しかし蓋を開けてみれば、大ヒット商品となりました。まさに、個人のこだわりの熱量が勝った商品と言えるでしょう。
このうように、個人のこだわりを、日々の仕事に上手に取り入れていくことがいまの時代では大切な要素です。
そのためにも、「その企画であなたのこだわりは何ですか。」のような一人ひとりの個性や価値観を引き出す問いかけを意識するようにしましょう。
ただし、「こだわり」は一方で「とらわれ」の始まりにもなります。
「とらわれ」になってしまうと、自分の仕事のやり方にこだわって変えようとしなかったり、既存の考えや事業に固執するあまり、時代の変化に乗り遅れてしまうこともあります。
大事なのは、「こだわり」を尊重し育てながら、新しい発想を阻害する「とらわれ」の意識を取り除いていく姿勢です。
異なる視点で考える「仮定法」テクニック
とらわれを揺さぶる問いかけのテクニックとして、「仮定法」が使えます。
仮定法とは、架空の設定を用いることで、制約を外したり、視点を変えたりする手法で、「もし〜だとしたら。」や「仮に〜だとすると。」のような質問です。
これを応用した問いかけを紹介します。
「もしあなたが競合他社だったら、どんな対抗策を講じますか。」
このような質問をすることで、自分とは別の立場から発想する視点を想起させます。
他にも、「もし予算が2倍になったら、何をしますか。」や、「もし失敗が許されるのなら、何に挑戦しますか。」のような質問も有効です。
これらは、無意識のうちに自分たちが設けている制約やブレーキを取っ払うことに繋がり、新しい考えやアイデアを生み出す可能性を広げることができます。
あえての素人質問をする
「こんなことを言ったら叱られるのでは…」と恐れのあるメンバーは自由に発言するのをためらいます。
そうした恐れを取り払うのに有効なのが「素人質問」です。
これは、みんなが当たり前だと思っているであろうことをあえて聞く、まるで素人のような質問をすることです。
例えば、ある家具メーカーで「スチール家具のこれからを考える」というプロジェクトがあるとします。
そしたら、試しに「スチール家具とは何か」から問いかけを始めるのです。
これをすると、意外と言葉の定義づけが統一されていないことに気づくことが多く、個人のイメージしている理解のズレを修正することもできます。
また、「え、そんな質問から始めるの?」と驚きもある一方で
「そんなことから聞いてもいいんだ。」というような空気作りにも一役買います。
特に、相手との会議であえて意識して使うことにより、質問自体のハードルを下げることもできます。
その結果、参加者が発言自体に対する恐れがなくなり、会議を活発化させることもできるかもしれません。
まとめ 遊び心をもとう
問いかけの工夫をすることで、創造性を生み出す会議につながることでしょう。
いつもと同じ問いかけをしたり、ただ相手を非難するのではなく、問いかけ自体を凝らしてみることで、これまでになかった化学反応が生まれるかもしれません。
数年前にブームを巻き起こした「う◯こドリル」を覚えていますか。
漢字ドリルとう◯こを足した、まさに遊び心満載のアイデア商品。
このように、固く考えずに、遊び心を持って取り組む。
これくらいの柔軟な気持ちを持って臨むと良いのかもしれませんね。